石油流通ビジネス最前線  「変わるビジネス 変わるシステム」

第五回 「新仕切体系」が生み出す新たな課題


『内部統制』の徹底と「業務改善」のポイント

最近、「内部統制」や、「J-SOX法」という言葉をよく耳にするはずです。
「内部統制」とは上場企業を対象として法制化された業務管理基準なのですが、ITマネージメント用語辞典では( 【internal control / インターナル・コントロール】。企業における業務ミスをはじめ違法行為や不正、エラー発生などが行われることなく、組織が健全かつ有効・効率的に運営されるよう各業務で所定の基準や手続きを定め、それに基づいて管理・監視・保証を行うこと。 )とされています。
そのための一連の仕組みとしてのシステムが「内部統制システム」と定義されます。
J-SOX法、コーポレート・ガバナンス、リスクマネージメント、コンプライアンス、いずれも最近よく聞くビジネス用語ですが、これらの用語も業務で使用する人や局面によって定義もいろいろではないかと思います。
難しい話のように聞こえますが、要約すれば、企業の業務を平準化することによって業務上のミスや金銭的不正などを防止したりするために社内管理手法をどのような手順で改善し、しかも明確な形でコストダウンを図るか、という課題解決のための手法のことです。
ですから、「内部統制」の必要性については、上場企業だけのものではありません。特に、昨今の石油流通ビジネスにおける中堅以上の特約店や商社流通などでは、「新仕切り体系」への単価対応という煩雑な課題が急浮上してきました。
「値決め条件」の細分化による単価設定管理の業務は煩雑を極めており、今後はさらに流動的な設定条件や遡及計算なども必要となる可能性もあるという状況であり、ミスも発生しやすいことから、特約店レベルで稼働中の「卸、直売システム」について、抜本的な見直しが必要となっているのはご承知のとおりです。
さらに最近では商品市況や市場対応なども想定した流通体系の課題も浮上しています。すでに、「複数仕入先」を想定した経営が前提となっている現在の石油マーケットでは、「系列システム」のみに依存しているわけにもいきません。当然、それぞれの企業の業務特性に対応できる専用の内部統制システムが必要となっています。
それら石油流通ビジネスの課題に特化した専用ソリューションが、すでに今迄とは次元の異なる安い価格で現実に存在しています。上場企業でなくとも、石油流通ビジネスにおける課題は共通です。
ここでは、特に「新仕切り体系」発足後、特約店や中間卸売業者、商社燃料部門などの現場最前線で運用され、注目を浴びている石油流通業務専用システムの「内部統制」と「J-SOX」法などに準拠するセキュリティー対策などについて、現場事例をもとに説明します。


石油流通ビジネスにおける、「内部統制」システムの必要性

石油流通ビジネスにおける特約店業務は規模や業態によって詳細は分かれますが、一般的には、直営SS店頭販売業務、直売部門、販売店管理、外販配送(灯油配送など)、在庫管理、受発注管理、経理部門、販売管理、経営管理部門などの各業務や部門が存在するはずです。
単独の企業でありながらそれぞれの部門が別々のシステムや情報を持って勝手に稼働していては非効率的ですし、管理の目も行き届かず不正やミスが発生しても即時の対応を図れないという問題点があります。
そこで、極力各業務を統合的に管理できるシステム(ERP:基幹業務統合系システム)の構築が主流となっています。ここ数年で日本の石油流通に特化した専用のビジネスソリューションの開発が進み、特に、昨年度の石油に関する「暫定税率問題」から、特別徴収義務者による軽油税納税管理の課題が浮き彫りになったことや、導入コストが劇的に安くなったことなどが、基幹業務統合系システムの導入が急速に進んだ理由となっています。
実は、ここにきて「新仕切り体系」などにより、最近の特約店企業などの現場最前線は業務に関する最大の課題を抱えているともいえるわけです。したがって、石油流通ビジネスにおける「内部統制」とは、当然のことながら上場企業などの大企業だけでなく一般的な特約店企業レベルでの必要性が特に高まっているわけです。
大企業などのSAPシステムなどによる構築では膨大な構築予算がかかるという現実的経緯があり元売りや大手商社のみが運用するのみで、一般的な企業規模ではとても導入可能な予算ではありませんでしたが、最近では軽油税納税申告などを含む日本独自の石油税制や現場流通に特化した専用のERPシステムの開発が完了し導入予算も大幅に下がり非常に身近なものとなったことから、今後はさらに急速に普及するはずです。


「内部統制」で見直される「ネットワーク管理者」の職務権限

 企業におけるコンピューターやコンピューターネットワークのシステム管理者のことを、アドミニストレーター【administrator】といいます。
企業内でネットワーク化され個々のコンピューターに分散されている業務内容とメニューについてセキュリティー対策も含め、それぞれ担当者毎に適正に稼働させるため業務メニューを割り振ったり、制限したりする、システムの管理責任者の事です。
最近では、主にサーバー管理などを中心として、システム全体を管理する立場ですから昔でいえば「電算室長」のような立場の業務なのですが、昔と違い、現在のIT環境ではサーバー以外、特別な機材などは不要ですしほとんどの場合、システムメンテナンスなどの面倒な作業もソリューション開発企業がインターネット上で行うことが多いですから、それほど高レベルで専門的な技術などは不要です。一般的な特約店レベルであれば経営者自身でシステム管理されている場合もあります。
企業におけるアドミニストレーター【administrator】:ネットワーク管理者によって、各業務グループや部門(ここでは「営業部」)で入力や操作、参照、集計などが出来る作業メニューを?をすることで業務管理を実行します。


全社的業務を一括管理しながらの、完璧な「セキュリティ管理」

「J-SOX」法に準拠しネットワーク化されたシステムは、「セキュリティー管理」や「不正業務防止」、さらには、業務担当者別の作業内容を総合的に参照管理できる「ログピューワ」機能により、システムのメインサーバーにアクセスしたすべての履歴データを蓄積保存しいつでも参照確認ができる機能を搭載しています。
これにより、システムで処理される業務については仮にミスの発生やデータの漏洩、不正使用などの事故が発生した場合でも履歴データによる追跡確認が可能となっています。
アクセス「日時」、使用ユーザー別の「IDパスワード」、実行した「処理作業」、「作業内容」まで履歴が残され表示されています。
保存データ数は、一定数が蓄積された段階で別のメディア等にも保存できますから、無限です。
最新の石油ビジネスソリューションは、当然サーバー構築を前提として、社内LANや広域ネットワーク(WAN)により構成されており、ネットワーク化されるクライアント(コンピューター)の数も多くなっています。しかし、全国に展開する支店や営業所単位であっても、「いつ」、「誰が」、「どんな作業」を行ったかが瞬時にすべて把握でき、ミスや不正業務の発生を防止できます。


企業の命運を分ける『情報共有化と意思決定速度』、

貴方の会社が、いわゆる「ガソリンスタンド」運営のみの業態であるとしたら、システムとしては一般的な小売業やコンビニエンスストア同様、店頭POSシステムによる請求書作成と若干のデータ集計機能程度で充分なはずです。
しかし、実際の石油流通ビジネスにおける業務規模や業態は多様です。卸売や直売部門などでは、以前ご紹介したリアルタイムな「与信限度額管理」や数量枠管理ができなければ不良債権の発生防止や油種別の「新仕切り体系」に基づく流通価格管理なども不可能です。
最悪の場合には状況判断の遅れにより、得るべき収益を失うことさえもあるわけです。リアルタイムな「情報の共有化」と速やかな「意思決定」が可能な情報処理体制を構築しておく必要性がここにあります。そのこと自体がまさに真の「内部統制」であるともいえるわけです。


社内の既存業務体系を根本から見直して管理業務の大幅コストダウンを実現

そこで、貴方が経営者や経営管理者だとして社内の各部署において、現在、社員が個々に行っている日次、月次の作業について、業務の流れと内容を改めて詳細に確認チェックしたことがあるでしょうか?
再チェックをしてみると、どんな企業でも無駄な重複業務や不要で無意味なデータの再入力作業や不要となっている集計報告データなども相当発見されるはずです。すなわち、社員が毎日ルーチーンとして繰り返している通常業務の中に無駄な業務や作業ミスやデータ処理忘れなどが発生しやすい作業が存在していることが多いはずです。
そのような「改善点」を見出したらすみやかに業務内容を根本から見直して、常に業務を整理しながら「改善」を進めておく必要があります。
不正業務やミスが発生しにくい、無駄のない業務体系構築。まさに「シンプル・イズ・ベスト」が「内部統制」のポイントです。


情報共有化と飛躍的な処理速度の向上で石油ビジネスが変わる

最近では、大手の石油流通企業に必ず存在していた「電算室」というオフコンのコンピュータールームを持つ企業は非常に少なくなりました。
系列計算センターへの委託業務も以前より少なくなっているようです。
SS業界におけるシステム導入は請求書発行などの勘定系処理については他の業種と比較して早かったわけですが、その後のシステム進化の進捗は大幅に遅れていると言わざるを得ません。
特に、系列計算センターなどへの業務委託に依存していた企業などでは、与えられたシステムに甘んじていたという経緯もあり、自主性に乏しく、現在でも旧態然としたシステムに依存している老舗特約店なども多数存在しており、昨今の「新仕切り体系」への対応に苦慮しているという現実があります。
時代はまさにウィンドウズによるオープン系システムの時代です。
サーバー構築による社内LANやインターネットを活用しての広域WANなど、ネットワーク構築により飛躍的な速度での情報処理が可能な時代です。
それに伴いSS関連ビジネスの可能性も急速に拡大しています。オフコンと比較してシステム導入予算は安くなり、ランニングコストもオフコンの時代とは比較になりません。とにかく、ハードウェア(コンピューター機器)が劇的に安くなりました。
こんな時代ですから、システム環境を有効に活用することで、経営管理コストの大幅削減も可能となっており、すでに多くの石油流通企業において、新たなビジネスフォームやアイデアの模索が開始され実行に移されているわけです。
経営者自身のITに関する興味や知識により大きな経営格差が発生する時代です。
特に、意欲的で行動力のある有能なアドミニストレーター【administrator】が、たった一人いるだけで企業の内容は大きく変わりますから経営資産となってきました。逆に、行動力がない、旧態然とした考え方の人間にシステムを担当させていると企業の業績はすぐに低下することになるはずです。
この部分はまさに企業にとっては「人的課題」ということになるわけですが、次回からご説明することとします。
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