石油流通ビジネス最前線  「変わるビジネス 変わるシステム」

第十回 「灯油配送ビジネス最前線」(上)


沈滞ムードの石油ビジネスの中で、灯油配送ビジネスは依然として堅調な推移を見せています。
理由は、ガソリンスタンドの淘汰と閉鎖により、全国各地に「配送過疎地帯」が発生し浮遊客が急増。
コールセンターによる受注体制や、配送システムによる配送機動力を完備している企業に灯油配達オーダーが集中し売上急増中という現象が発生しています。
店頭ガソリンのパーリッターあたり収益と配送灯油の収益を比較してみてください。
石油販売業者ならだれでも灯油ビジネスの収益力のうま味が理解できるはずです。
しかもホームタンクの配送灯油は戸建て住宅を所有している富裕客がほとんどですから、機器販売や住宅関連ビジネス、さらには燃転に付随するビジネスまでも先取りしながらさらに拡大しています。
昨年度は北東北地域における大手灯油配送業者の倒産で周辺業者の灯油売り上げが急増という突発的現象も発生しました。
全国各地で有力業者による灯油配送の業務協業化も急速に進行中です。
灯油ビジネスは次の時代にむけて「配送システム」としてさらに「強化」されつつあります。
そこで、今回は最新の灯油販売マーケットと配送システムの概要についての説明。
そして、来月号ではシステムを駆使しての具体的な灯「油拡販手法」と「業務集約化のコストダウン」による収益向上の手法をご説明させていただきます。


灯油配送は石油ビジネスの原点

ご承知の通り、私は日本で最初に灯油配送システムを完成させ「雪ん子」と名付けて売り出しました。
以来、北は北海道から南は石垣島まで日本全国の石油ビジネス最前線の現場を検証してきました。
そして、現在でも全国各地の石油流通業者の皆様と共にビジネス最前線の課題と向き合って生きています。
石油ビジネスの原点は「灯油」にあるといっても過言ではないでしょう。
現在では、大手企業といわれるほとんどの業者でも18㍑のブリキ缶の灯油小口配達業務から石油ビジネスをスタートさせたという経緯が多いわけです。
薪炭系業者も石炭や薪から石油へのエネルギー転換の時代を経て現在があるわけですから、灯油ビジネスはまさに日本のエネルギービジネスの原点だともいえます。
私自身の30年以上の石油ビジネスにおけるキャリアは「灯油配送」一筋にそして、石油流通に関する一途なシステム開発を重ねて今日があります。
現在エネルギー転換などでマクロ的には灯油の消費減退が叫ばれているわけですが、実際にはSSの淘汰と閉鎖により、灯油の配送体制を整備しているSSでは逆に新規顧客からの配送オーダーが集中し販売数量も伸びており、灯油ビジネスは「勝ち組」企業にとってのドル箱ビジネスとなっています。
そこで、今回の「変わるビジネス、変わるシステム」は冬場のシーズンインを控え、私自身の十八番(おはこ)でもある、灯油外販ビジネスと最前線システム、そして「宅配」を切り口とする石油ビジネスの未来についても考えてみましょう。


全国各地に発生する「配送過疎地帯」

ここ数年、全国的にSSの淘汰や閉鎖、さらに「セルフ化」の進行が進み、各地に灯油配送過疎地帯が発生しています。
さらにSS経営環境の悪化により配送体制の弱体化にも拍車がかかっており、消費者からみても配送灯油を購入する環境にバラつきが出ています。
ホームエネルギーとして灯油を他のエネルギーと比較しますと、都市ガスや電気は配達が不要ですし、注文も不要な便利なエネルギーです。
LPGも予備タンクなどの設置により緊急的な配送は発生しないわけですが、灯油だけは緊急的にしかも「配送」を伴うホームエネルギーなのです。
問題は「注文」や、「配達作業を伴うエネルギー」であるという事です。
この部分で灯油は他のホームエネルギーに劣っていると言わざるをえません。
昨今では消費者の購入環境にも大きなバラつきが発生しているわけですから、ホームエネルギーとしての評価も当然二分されてくるわけですが、これは販売業者側の責任であるという事をまず最初に認識しておく必要があります。
エネルギー転換なども叫ばれてはいますが実態としての灯油需要はまだまだ底堅いものがあり、コスト的なメリットも依然として大きいものがあります。
特に地方特産物や農業など産業用としての用途を考慮すると今後も依然としてかなり大きな需要を見込む事が出来ます。
当面最大の課題は、ここ数年価格変動が大きいことでしょう。
これだけSSの淘汰や閉鎖、そして、セルフ化などが進行し灯油配送体制が弱体化してくると、体制を完備している業者にとっては逆に大きなビジネスチャンスが到来しているわけです。
ですからここ数年は、広域スーパーディーラーや元売販社などにより灯油配送システム「雪ん子」の構築による広域販売が盛んです。
地方では有力業者による協業化によるビジネス再構築も進んでおり、灯油配送ビジネスを起点として地域企業間の提携や業務集約が進むという、過去の石油業界からみて、画期的な協調的方向性までも見えており、石油業界としての劇的な協調の時代の先駆けとなる可能性までも見えています。
もし、灯油配送業務の協業化が起点となり地域業者間によるコスト転嫁や値取り環境が整備されるとしたら、石油ビジネスにも「明るい未来」が見えてくるわけです。


そこに消費者ニーズがあるから灯油ビジネスが成立し、「値取り」もできる

ここ数年、急速に進む地域有力業者による「灯油配送業務協業化」の波や元売販社による「受注センターの設置」、さらには「配送ネットワーク構築」などの現象を分析してみると、「配送コストの価格転嫁」の環境が完全に整備され値取りが可能になったという現実が大きいと思われます。
さらに、灯油配送システムの進化による業務コストの圧倒的削減により、灯油をはじめ、軽油、A重油、などの配送も単独の高収益な直売配送ビジネスとして定着しつつあります。
全国各地の「パトロール給油」専門業者も立派なデリバリー業務として単独のビジネスフォームを構築しており、一般的なガソリンスタンド業者よりも断然高収益を誇っています。
このようにガソリンスタンドとしての石油ビジネスは淘汰期に入っても、淘汰や閉鎖により派生する消費者ニーズを逆手に取ったデリバリービジネスが誕生しているわけで、これらのマーケットは消費者ニーズも高いため、「値取り環境」も非常に整ってきたという事です。
どこの企業でも、店頭で安値を競うガソリンスタンドビジネスなどと、比較すると「配達灯油の価格」について、消費者は比較的鷹揚なはずで、値取りも可能なのです。
何より、ホームタンクの戸建てユーザーですから、灯油から派生するドアツードアのビジネスなどの可能性も非常に高まっているわけです。
たとえば「車検販売」などでもSS店頭でのアルバイトスタッフなどによる忙しいアプローチよりも、元マネージャクラスのベテランの灯油配送スタッフによる配送時のドアツードアビジネスの方が圧倒的な販売効果が高いという事実もあるわけです。
やはり、冷静に考えると最近のガソリンスタンド業界にはビジネスそのものの制度疲労と歪みが発生しているという意見があります。
私も全く同感です。もう一度「御用聞き」のような顧客管理から始まるこの業界の原点である灯油配送を見直すべき時が来ています。
確実で、強い消費者ニーズが存在しているからこそ「値取り環境」が整備され、高収益ビジネスとなっているわけです。


「変化する、ビジネス環境」に関する業界人としての意識

少し、話題が変わるかもしれませんが、読者の皆様は、自身が現実的に携わる現在の石油ビジネス環境の変化をどのように感じておられるでしょう。
私自身は永年にわたり全国各地の多様な業態の石油業者の方と毎日面談し其々の課題を頂きながら共に考えシステムに反映しながら解決に当たっています。
流通の上流である元売や商社、大手特約店、広域ディーラー、フリート系大手業者、そして、多くの販売店企業のオーナー経営者様、ガソリンスタンドを持たない薪炭系業者の方まで、一口に石油流通業界といっても本当にすそ野が広くて、それぞれに多様なシステム課題を抱えており、其々の業態や業容ごとに、情報力や、必要とする業務知識も異なり、経営感覚の「温度差」も大きいという事を痛感しています。
そこで、改めて、其々の立場で現在の変化をどのように感じておられるのか、経営者の方とお会いしたときには逆に質問をさせていただくことにしています。
其々、ご自分の立場で必要な情報とは何なのか、今現在、そして、これから石油ビジネスの経営者として為すべきことはなどについて、あらためて見つめ直す必要があると思うからです。
実際の話、石油に関する情報や知識であれば商売の無駄になる情報などはないはずですね、しかし、評論家が論ずるようなマクロな話題を中小リテール経営者が話題にして真剣に論じてみても、当面の課題に対して即効的な経営効果を求めることはできません。
絶対に知っておくべき経営知識と時代に即した経営関連情報のポイントだけを確実に抑えておくことで充分だと思います。
むしろ、石油流通企業としてどのようにして利益を上げるのか、どうしたら高収益企業となれるのか、厳しい局面にあるとしたら「次の一手」をどう打つべきなのか、などが最大の課題となるはずです。
そんなときに、「灯油ビジネス」は即効性もあり大きな意味を持つわけです。
板金屋、やレンタカー、SS店頭での油外収益確保など、色々な新しいSS付帯ビジネスがあるわけですが、所詮、新規ビジネスですから素人としてのスタートであり、余計な労力も必要となるはずです。
その点、灯油は既存ビジネスですから、仕入価格も配送を含む販売価格も正確に把握できます。
粗利益計算をしてみますと、「配送灯油」の確実な収益性がご自身ですぐに正確に確認できるはずです。
素人商売のようにほかの業者に聞く必要は全くありません。
問題は灯油を配送販売して儲けるためのビジネスオペレーションということになります。
「オペレーション」とは、「企業としてのビジネス組織運営上の問題(収益を上げるという目的)について、最適・有効な解決の手段を、数学的、科学的方法によって求めようとする作戦」です。
ここでは、変化している石油ビジネス環境を前提にして『灯油ビジネスをどのようにしたら、高収益部門として、構築するか!』という事なのです。
非常に簡単明瞭に単純に考えることが成功への近道です。
「WTIの原油価格」の話題、「新仕切り体系」への対応、「元売の方針や施策」などの話題を論ずる前に当面の課題を何とかしましょう。
とにかく「灯油ビジネスで競合他社に大きな収益差をつける」事に努力し、そのための工夫とアイデアに全力を傾注する必要があります。
淘汰の時代です。まずはごコアとなる「灯油ビジネス」を強化して自社の生き残りを確実なものにすることが最大のポイントです。
今シーズン、必ず灯油で「黒字決算」を実現しましょう。という事です。まさに『松茸は千人の股をくぐる』という事です。
もし、「新仕切り体系」などに関する情報と具体的な対応の手法が必要であれば、焦る必要はありません。私がすぐに決定版となるシステムを提示してご覧にいれます。遠慮なく、ご相談ください。


そして、「宅配」を切り口にしての、新たなビジネスモデルの予感

最近では、灯油配送システム「雪ん子」の顧客管理データベースや配送システムとしての高機能に改めて注目が集まっており、新たなビジネスフォームの模索が盛んに行われています。
一番目立つのは、「天然水の宅配」などへの応用です。「雪ん子」の配送商品アイテムとコード設定は無限です。
すでに灯油配送ビジネスを起点とする、独創性豊かなビジネスモデルの開発が全国各地で進んでいます。
その内容や事例に関するお問い合わせも増えているわけですが、その分野で努力していらっしゃる企業各位のセキュリティーに免じて現在の段階でのご紹介は控えさせていただきます。
来年あたりから「雪ん子」は、灯油配送システムから、受注管理、デリバリーシステムとしての機能としての位置づけにより、サブタイトルとネーミングも変更することも考えています。


進む業務集約と協業化

今までは、楽観的な状況でのビジネスマーケット紹介でしたが、現実の問題として現在の灯油販売数量が少ない場合、システムを導入して灯油ビジネスを即時に採算に乗せる事は難しい話です。
それでは私の原稿も「絵に描いた餅」というわけで役に立ちません。
最近は灯油配送システムも安くなりましたがそれでもソフトウェアとハンディPOS、そしてパソコンなどの機器を揃えますと最低でも200万円程度からの初期投資が必要となるはずです。
そこで、数社の販売数量を統合集約することで投資リスクを軽減する方法が盛んです。
それらの要因で全国各地に「灯油センター」が開設されているわけです。
協業化により季節的な配送スタッフなどの人員確保やローリーなどの配送機器の有効活用などで、人件費や設備の無駄も省くことができます。
私は、現在、全国各地での協業化や業務集約のお手伝いをさせていただいておりますが、灯油配送の協業化ビジネスは全て成功しています。
ガソリンスタンド経営者諸氏の癖として他社「視察」なども多いわけですが、むしろ地域性や業態、業容などの条件に合わせて独自な工夫した方が成功の度合いも大きいといえます。
一概に「灯油配送センター」の設置といっても、企業規模や、車両台数、ビジネス展開エリア、などによりシステム内容や仕様で予算規模も大きく変わります。
元売系販社や大手広域ディーラーなどでは、数県をカバーする受注から配送センターまで設置する大規模なケースも珍しくありません。
しかし、SSを閉鎖し、奥様が自宅でCTIによる受注センターを開設して家事をしながら受注対応、社長が一人でローリーとハンディPOSを持って配送作業に当たり、SS運営時よりもキャッシュフローと利益を上げていらっしゃる「灯油センター」も全国各地に誕生しています。


受注業務の完全無人化が可能な灯油WEB受注システム

最新の灯油WEB受注システムでは、納品書に顧客別「二次元バーコード(QRバーコード)」を印刷表示、一度ご注文いただき、マスタ登録が完了したお客様は携帯電話からWEBによる灯油注文が可能です。
24時間、無人で灯油注文を受け付けます。そして、業務開始時に「雪ん子」を立ち上げると同時に「受注データ」として取り込み、当日の「配送指示データ」として自動作成されます。
これらのシステムは既に現実に稼働し大きな経営効果を上げています。


石油流通ビジネスは広域展開の時代に突入

IT環境の進化により、灯油がネットワークビジネスとして劇的にスピードアップしています。
当然、灯油に関するビジネスも「広域化」の時代に突入。
売上データの確実な転送などにより、データ移動やデータの手動による再入力作業なども全く不要のペーパーレス作業となります。
「売上計上漏れ」、「売上計上ミス」など煩雑な作業による業務ロスを完全になくすことができます。
インターネットを活用しての「ドットネット」により、安いコストで全国どこでもネットワーク化が可能ですから、石油流通ビジネスの可能性が劇的に拡大します。


最新版ハンディPOSの機能

ウィンドウズCE版、当社開発スタッフによるプログラム直接制作、インターネットへの接続対応、さらには、デジタル機器用の近距離無線通信規格である、Bluetooth(ブルートゥース)対応でローリー計量機との無線連動仕様も用意。他の追従を許さない高機能。低価格。


経営規模や多様な業態への対応

一概に灯油配送システムの構築といっても、その業態や経営規模によりシステムの機能や構成は非常に多岐にわたります。
小規模な企業が独自に灯油ビジネスからスタートするケース、地域での複数販売業者による「配送協業化」のためのシステム構築、大手企業による「配送業務の集約化」などでは広域ネットワークが主流となっています。
実際にシステムを稼働させる目的と環境により構築手順やシステムの仕様も異なります。
意外と多いご要望は具体的な「拡販手法」についてという事です。
どうも看板などによる「安値価格提示」に慣れすぎているせいなのか、SS業者は配送サービスの内容などをアピールしての価格値取りが不得意なケースが多いようです。
もちろん価格も大きなファクターですが、冒頭ご説明したように最近では、SSの閉鎖や淘汰により発生している優良な富裕客の取り込みなどに注目が集まっています。
来月号ではその辺の「顧客囲い込み戦略」のポイントについて具体的に勉強してみましょう。
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