石油流通ビジネス最前線  「変わるビジネス 変わるシステム」

第十二回 今年度の総括、そして来季に向けての課題


 本年度、石油業界の話題は「新仕切り体系」に関するテーマが多かったように思います。
原稿内容に関して、多くのご質問も頂戴いたしました。来年に向けて石油業界ではさらに幾つかの課題が発生しそうです。私は今年も石油流通業者の皆様と課題を共有しながら全国を巡回してきたわけですが、ここでは、最前線の実務課題として多くの読者の皆様や企業から提示された「暫定税率撤廃」による影響と石油税の「普通税移行」に伴う「軽油税納税帳票変更」に関する課題。そして、「新仕切り体系」により抜本的見直しを迫られている「直売部門システム」に関する最新情報に焦点を絞り今年の総括と来期に向けての課題提示とさせていただきます。


1.政治的要因で流動化しそうな「暫定税率撤廃」問題

まず、来年度の石油業界は、「暫定税率撤廃」に関する問題からのスタートとなりそうです。衆議院選挙における民主党のマニュフェストで、石油に関する「暫定税率撤廃」が公約として提示されていたわけですが、民主党政権が実現したことで「財源と公約」の板挟み現象が発生しており、はたして「マニュフェスト」どおりに「暫定税率撤廃」を実行する事が可能なのかということが政治課題となって浮上しています。まず、本当に撤廃された場合、「地方税」である軽油税は約8000億円という膨大な金額が地方自治体における減収となるため、大きな反発を招く可能性が高いと思われます。さりとて、暫定税率を撤廃せずに存続させるとなれば、早くもマニュフェスト(政治的公約)に反する「公約違反」ということになり、ガソリン、軽油の値下げを期待していた消費者や業界からの支持を失うことにもなりかねません。さらに、一度暫定税率を撤廃してから新たな「環境保護税」のような新税による課税までも検討されているようです。しかし、これも形を変えた増税ですから国民の支持を得られそうにもありません。とにかく税金の無駄遣いをやっとのことで三兆円節約して絞ったわけですが、今度は二兆五千億円の減税となるわけですから民主党政権は「財源とマニュフェストの板挟み」となりそうです。さらに不況により国の税収は当初の見込みより6~8兆円近くも減るという予測まで立っているわけです。
実際、この原稿を執筆中の現在でも未だ方向性は見えていません。さらに動向に注目といったところです。しかし、石油税がすでに「普通税」へ移行したことに伴い、特別徴収義務者(特徴業者)に課せられている軽油引取税の「納税帳票のレイアウト」はすでに変更されており、特徴業者は対応を迫られています。このままでは2010年四月に向けて、前回同様、タイムリミットぎりぎりまでの混乱となるのかもしれません、石油流通業者としては今後の推移に注目し対応についても準備しておく必要がありそうです。


【迫られる、軽油税納税管理のシステムによる業務標準化】

「軽油税」の申告帳票の仕様に関しては2009年4月をタイムリミットとして新たな帳票に変更されます。流動化、煩雑化してくる軽油税納税管理業務についてはなるべく早めに社内での標準化、省力化の必要性が発生してくるはずです。さらに特徴業者としてコンプライアンス上、担当者の退職やアクシデントなどによるトラブルを未然に防止し、円滑に作業できるよう申告業務を標準化することで、不測の事態を避けておく必要があります。そのためのツールとして、納税管理システム構築が改めて見直されています。

ここでは、当面の課題となっている「納税帳票のレイアウト変更」について説明しておきます。
☆ 「普通税」への移行に伴う軽油税納税帳票変更について  <参考資料>
神奈川県における軽油税に関する条例のみをそのまま提示しておきます。
(これは、参考資料です。帳票の詳細等に関しては都道府県別に異なることもあります。)
(参考として、石油以外の県税変更に関する事項もそのまま記載されています)
以下赤色文字の部分について、は石油以外の情報です。
(「軽油税」に関しては、「普通税)への移行に伴う「帳票様式」の変更内容に関する説明です。)


神奈川県県税条例施行規則の一部改正案の概要(参考)

1 改正の内容
(1) 地方税法等の一部改正に伴い、次のとおり改正を行った。
 ア 道路特定財源の一般財源化に伴い、自動車取得税及び軽油引取税が目的税から普通税に改められることにより、この引用している地方税法の規定に条ズレが生じることなどから、所要の改正を行った。(第2条等、附則規則中で第7項等、別表第2、別表第3及び第11号様式の2等関係)
イ 住宅及び土地に係る税率の特例措置及び宅地評価土地(住宅用地・商業地等)に係る課税標準の特例措置が3年間延長されることに伴い、所要の改正を行った。(第74号様式の2、第76号様式、第79号様式及び第80号様式関係)
(2) 太陽光発電普及拡大プロジェクトにおける太陽光発電の普及への取組の一環として、太陽光発電設備を設置した家屋の取得に対して課す不動産取得税を減免することとし、そのための規定の整備を行った。(附則第21項及び第22項関係)
(3) 移転価格課税に係る徴収猶予を取り消した場合などにおける納税者への通知に用いる様式を追加した。(第62号様式の3及び第62号様式の4関係)
(4) 神奈川県県税条例の改正に伴い、この規則中で引用している同条例の規定に条項ズレが生じることから、所要の改正を行った。(第1条の5等及び附則第30項等関係)
(5) その他所要の改正を行った。(第2条第16号、第27条及び第2号様式等関係)


2 施行期日
  平成21年4月1日

【改正様式一覧】
1 自動車取得税及び軽油引取税が普通税に改められることに伴い追加又は全部改正する様式
 第10号様式の2  納付書(自動車取得税等用)
 第90号様式  自動車取得税額の交付額の算定に用いる道路の延長等に関する報告書
 第91号様式  自動車取得税修正申告書
 第92号様式  自動車取得税徴収猶予申告書
 第93号様式  自動車取得税徴収猶予取消通知書
 第94号様式  自動車取得税還付(納付義務免除)申請書
 第95号様式  自動車取得税更正(決定)通知書
 第96号様式  仮特約業者指定(指定取消し)通知書
 第97号様式  特約業者指定(指定取消し)通知書
 第98号様式  軽油引取税特別徴収義務者登録(登録事項変更)申請書
 第99号様式  軽油引取税特別徴収義務者登録(登録消除)通知書
 第100号様式 公告書(免税証等の公示用)
 第101号様式 納税通知書(軽油引取税用)
 第102号様式 軽油引取税徴収猶予申請書
 第103号様式 軽油引取税徴収猶予取消通知書
 第104号様式 軽油引取税還付(納入義務免除)に関する通知書
 第105号様式 特例報告期限適用免税軽油使用者指定申請書
 第106号様式 特例報告期限適用免税軽油使用者指定(指定取消)通知書
 第107号様式 販売契約の解除に伴う軽油引取税に関する届出(還付申請)書
 第108号様式 免税用途使用承認申請書
 第109号様式 軽油引取税納入免除(還付)申請書
 第110号様式 自動車用炭化水素油譲渡証等の用紙交付申請書
 第111号様式 自動車用炭化水素油譲渡証等の用紙返納書
 第112号様式 軽油引取税更正(決定)通知書


2 自動車取得税及び軽油引取税が普通税に改められることに伴い廃止する様式
 第12号様式  納付書(自動車取得税等用)
 第149号様式 自動車取得税額の交付額の算定に用いる道路の延長等に関する報告書
 第153号様式 自動車取得税修正申告書
 第154号様式 自動車取得税徴収猶予申告書
 第155号様式 自動車取得税徴収猶予取消通知書
 第156号様式 自動車取得税還付(納付義務免除)申請書
 第157号様式 自動車取得税更正(決定)通知書
 第158号様式 仮特約業者指定(指定取消し)通知書
 第159号様式 特約業者指定(指定取消し)通知書
 第160号様式 軽油引取税特別徴収義務者登録(登録事項変更)申請書
 第161号様式 軽油引取税特別徴収義務者登録(登録消除)通知書
 第162号様式 公告書(免税証等の公示用)
 第163号様式 納税通知書(軽油引取税用)
 第164号様式 軽油引取税徴収猶予申請書
 第165号様式 軽油引取税徴収猶予取消通知書
 第167号様式 軽油引取税還付(納入義務免除)に関する通知書
 第167号様式の2 特例報告期限適用免税軽油使用者指定申請書
 第167号様式の3 特例報告期限適用免税軽油使用者指定(指定取消)通知書
 第168号様式 販売契約の解除に伴う軽油引取税に関する届出(還付申請)書
 第169号様式 免税用途使用承認申請書
 第170号様式 軽油引取税納入免除(還付)申請書
 第170号様式の2 自動車用炭化水素油譲渡証等の用紙交付申請書
 第170号様式の3 自動車用炭化水素油譲渡証等の用紙返納書
 第171号様式 軽油引取税更正(決定)通知書


【軽油税納税管理支援システムの概要】

 軽油税納税管理システムとは、請求書作成データなどに蓄積されている軽油に関する流通データを抽出して「軽油税納税帳票作成システム」に読み込むことで経営資源として再活用、徴収義務者にとって非常に手数が掛かる煩雑な業務を完全に自動化することが可能となります。そのことによる特別徴収義務者としての大きなメリットは、納税金額の約4%程度を「納税還付金」としてそのまま「収益化」することができるというポイントにあります。軽油税申告システムは特徴業者である企業規模や業態、申告都道府県の数などによりシステムの仕様や構築手順が異なり必然的に構築にも手数がかかります。一般的な省力化システムとは異なり業務自体で確実な「収益手数料収入」を見込むことができるわけですから、導入コストパフォーマンスは抜群であるといえます。現在、実務稼働しているパッケージシステムとして構築事例を重ねたことにより大幅なコストダウンを実現しており導入に関する経費も大幅に安くなっています。


【暫定税率問題等に対する機動的対応】

 暫定税率問題は、前回のように期限ぎりぎりの対応を迫られることになるのかもしれません。撤廃となるのか、それとも税率変更となるのか、新たな環境新税が課税されることになるのか、原稿を執筆中の現在では、未だに流動的なのですが、ここでは「D-TAX」による税制変更時におけるシステム対応の事例を説明しておきます。御覧のように「D-TAX」の最新バージョンでは税率変更と期間を設定するだけで納税に関しては簡単に対応することが可能ですから、細かい変化に対する対応も可能となっています。また、最近の直売システムには内部機能として「軽油税」に関するプログラムユニットが内包されており、完全省力化も可能となっています。


【軽油税納税管理のシステム構築費用と手順】

 最近では、一般的な特約店様から、元売り販社や大手フリート系企業はもちろん、大手商社などの規模まで多様な規模や業態での構築実績を重ね、軽油税納税管理システムの構築コストは大幅に下がってきました。今後の構築に際しましては、各系列別の計算センターとのデータ連動により構築期間の短縮も進んでいます。さらに、今回の暫定税率撤廃問題のシステム対応に関するご質問については、私までお気軽にお問い合わせください。無料にて可能な限りアドバイスをさせていただきます。



次に、今年は「新仕切り体系」に対応するための本質的な課題とシステム機能に関しまして、多くの企業からお問い合わせをいただきました。すでにシステム概要については一度本誌上で説明しましたが、角度を変え、ポイントをまとめてもう一度、説明しておきましょう。

2.見直される「直売システム」

1.「新仕切り体系」で要求されている「直売システム」の特殊機能

「新仕切り体系」により石油流通システムは二分化されさらに変化しています。一般的なガソリンスタンド運営の現場で運用されている「SS用販売管理システム」は多くの場合、系列下で共通化されたSS店頭POSデータ処理を中心として系列計算センターへの委託代行や自社コンピューターなどによる勘定系処理中心のシステム運用が多いわけですが、広範に石油流通ビジネスとなると業態はかなり多様です。特に「卸売・直売部門」、「工業用潤滑油部門」、や「中間流通」などで運用される「直売システム」はすでに「系列」という枠や概念を超えており、仕様も単純な「SS用販売管理システム」とは全く異なります。とりわけ「新仕切り体系」後の特約店企業における卸売、直売業務、仕入管理、与信限度額管理などに関しては、時代の変化に伴い今迄とは全く異なる機能が要求されているわけです。ここでは、質問が多かった「新仕切り体系」に対応するための「単価設定管理」や、伸縮する「与信限度額管理(金額ベース)」、そして「油種別数量枠管理(数量ベース)」の三点の機能に焦点を絞り、具体的システム事例をもとに説明をしてみます。これらの機能のほとんどは、実際に稼働している元売り、大手石油商社、大手特約店などの実際の流通処理現場からの要望やアイデアを基に実務に沿って制作されたものです。

2.機動的な単価設定を可能にする新機能

細かく変動する単価設定をいかに正確に処理するか、         
「Excel」で作成した「見積書」の単価設定をそのまま「請求単価」に反映
最新の「直売システム」は、「新仕切り体系」により多様で複合的な条件によって決定される「仕入れ価格」、と同時に「販売価格」に関する単価マスタ管理が同時に可能です。しかも、非常に簡単に処理することができます。例えば、「週決め」、「日決め」や「運賃コスト」、「ボリュームインセンティブ」、「決済条件」などをはじめとする諸条件によって複合的に決定される仕入先からの「仕入・仕切り価格」、そして販売先への「販売・仕切り価格」の取り決めについて、正確でスピーディーな機動的対応を可能にするための機能を搭載しています。「Excel」に所定のフォームで見積書を作成し、取引条件と単価設定条件を予め設定発行するだけで、設定された見積書容をそのまま「単価マスタ」として自動的に売り上げ「請求書」、「仕入単価管理」に同時に反映させることが可能です。しか、過去の期間は自動で「遡り単価修正」まで実行し、さらに、複雑な価格変動パターンの条件に対して、簡単にしかも機動的な単価対応を図るための実務に即した高機能を搭載しています。

3.伸縮する「与信限度額」への対応・・・金額ベース

構造的な不況により石油ビジネスの経営環境は激しく変化しています。特に販売店向け卸売や中間流通(業転)ビジネスでは、激しく変動する原油価格により伸縮する与信限度額のリアルタイム管理の必要性が発生しています。今回のこの受注を受理することで与信状況がどのような状況となっているかについて常に「リアルタイム」な与信限度額管理状況を把握しておく必要が発生しているわけです。「与信限度額」は「販売」だけでなく仕入先に対する与信限度額設定管理も同様の必要性があるわけです。最近の金融情勢を考慮した場合、特に「金額ベース」での管理が課題として急浮上しています。さらに、COD(現金取引)による取引の場合、振り込みや入金情報のデータ処理のスピードアップも課題となっていきました。

4.数量枠管理・・・数量ベース
石油流通では、「金額ベース」と並んで数量ベースの「需給管理」が非常に大切なポイントです。従来は「金額ベース」の与信限度額管理は「請求管理システム」、そして、「数量枠管理」などは別のシステムによる集計データで管理していたケースもあったわけですが、最新の基幹業務統合系(ERP)システムでは、同一システム内で「金額ベース」と「数量枠ベース」、「粗利益管理」までの管理も可能となっています。

5.その他、会計システムとの連動
最新の石油流通システムの経営情報データをもとに、各種会計システムとのリアルタイムな連動を前提とする要望が増えており、すでにシステム対応が増えており、試算表や資金繰表作成なども可能となっています。

「新仕切り体系」に関しましては、一般的な販売業者の立場により、其々の立場で本当に解決が必要な課題や情報が明確になってきました。其々の立場で本当に必要なポイントを見極める必要があるはずだす。

本年のご購読、ありがとうございました。
来年からは、石油ビジネス全般にわたる原稿を書いてみたいと考えています。
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