石油流通~その先の未来へ  「お客様の喜びが我が喜び」

第2回 経営管理コスト削減で蘇生する石油ビジネス


基幹業務統合系ERPシステム構築が石油ビジネスを変える

 全国各地の石油業者の皆様とシステム構築を通して面談していると、その時々の現場における色々なビジネスの課題が見えてきます。身の回りを見渡すと時代背景に応じて使命を終える業種もあるわけですが、市場ニーズや業務システムなど先取りしながら見事に業態やシステムを変えて「次の時代」の展望を拓く業種もあります。
 そこで、今回は石油流通ビジネスに焦点を絞り「勝ち残りの条件」があるとしたらどんな手法やポイントがあるのか、基幹業務統合系ERPシステム構築による業務改善と管理コストダウンによる石油ビジネス再構築の具体的な手法と実例経験をもとにあらためて検証してみることにしましょう。石油流通ビジネスの「次の時代」が見えてくるはずです。


1.業態の多様化と細分化が進む石油流通ビジネス

 全国的な販売競争激化によりガソリンスタンドの現象傾向が続く中で広く石油流通ビジネスを見渡すと業態の多様化と細分化が急速に進んでいます。
 最近では石油ビジネスのコアとなる「直売部門」や「潤滑油部門」などを中心とする外販ビジネス強化に活路を見出している企業がふえています。さらに、中古車販売や板金塗装、レンタカービジネスなど「車」を軸とするSS店頭以外のビジネスモデルも花盛りなのはご承知のとおりです。一方ではホームエネルギーの転換を視野に入れての住設部門やリフォームビジネスなどへの進出で活況を呈している企業も増えてきました。今後はソーラーやエコフィール関連の分野は元売の施策等もありさらに強化されてくるはずですから、リフォームなど住宅設備の分野の可能性は明るいとみるべきでしょう。
 そのほか地域や企業の特性を生かした多彩な業種開発が全国各地で模索されており、最近の石油関連ビジネスは「ガソリンスタンド」という業態を起点としてかなり多彩な展開が見えてきました。「淘汰」や「廃業」という後ろ向きの話題ばかりが飛び交ってきた石油業界ですが、これらの動きをみていると「次の時代」を見据えた自助努力による力強い構造的変化も見えてきたようです。しかし、これらの方向性にもまだ課題がないわけではありません。最大の課題としては収益性が低下している既存の石油ビジネスそのものの見直しも同時に迫られています。先進的な企業ほど既存業務に対する「経営コスト改善」の意識と「次の時代」にむけてあらたなビジネスモデルの模索に着手しています。
 石油流通企業としての経営管理コストダウンをどのように進めていくか、省力化のための基幹業務統合によるシステム構築を前提とした業務改善が待ったなしの課題解決ともなっています。


2.見直しを迫られる経営管理体制と業務コスト
  システム改善によるコスト削減が急務

 我々は最近「新仕切り体系」へのシステム対応や「暫定税率」にからむ「軽油税申告」の課題などを通じ、石油直売流通ビジネス専用の基幹統合系ERPシステムを駆使した管理業務コスト削減に関する具体的な提案を求められる機会が増えています。この事は今迄、主に元売主導の販売管理システムだけに依存してきた石油販売業界としては、「次の時代」に向けての大きなうねりであるとも言えそうです。すでに元売各社の多くは大規模な基幹業務統合系ERPシステムの構築を完了しています。これまでERPソリューション構築に関しては膨大な導入構築予算が必要でした。さらに日本固有の石油流通ビジネスの風土に適した本格的パッケージシステムも存在しておりませんでしたから、構築費用が掛りすぎ一般企業への普及が遅れていたという経緯がありました。
 しかし、現在では価格面でも機能面でも一般特約店でも導入稼働できる環境が整備されています。利幅の薄い石油ビジネスですがERPソリューションを駆使することで直売部門や管理部門の「業務管理コスト」が大幅に削減され劇的な収益向上をもたらすという導入効果の事実がようやく浸透してきました。一部上場の大手商社の石油部門や元売系販社を中心に普及してきた石油流通専用ソリューション構築の波が、これからは一般特約店企業でも構築可能な環境となってきたわけですから、今後の石油ビジネスにも「次の時代」に向けての可能性が見えてきたとも言えます。
 今迄大手ディーラーなどにおいて基幹業務統合系ERPシステム「ペトロマスターEX」や軽油税納税管理システム「D-TAX」などのシステム構築を進める際、基本的課題については経営規模の大小を問わず、一般的な特約店企業とほぼ共通であることも理解できました。多くの場合の問題は重複作業などの「無駄な管理業務」が多すぎるという事です。今後、減販を想定せざるを得ない石油流通ビジネスですから管理部門のコスト削減は絶対条件ですが、単なるリストラなどによるコスト削減でなく現場実務に沿って業務の質を高めながら管理コストを軽減していくかという手法について改めて脚光があたってきたという事です。
 本社管理費のコストダウンといえば「抵抗勢力」などからの抵抗があるケースも多いためそれらに対する対策なども課題となるケースがあります。昨年度面談した関西の某老舗ディーラーの若手幹部から基幹業務統合システム構築の提案を求められた際には、先代からの退職間近のベテラン役員による「合理化は敵だ」という抵抗にあい、改善に対する現場の厳しさを改めて感じさせられました。経営環境が悪化するなか元売による販社などへの統合や淘汰の現実に立たされたときに、改めて経営管理業務に関するコストダウンの重要性を感ずることになりそうです。


3.ERPによる管理業務のコストダウンは、まず社内の「業務仕訳」からスタート

 ERP(enterprise resource planning)による業務統合プランニングのシステム構築にあたっては、まず、業務改善の中心となるプロジェクトリーダーであるアドミニストレーター【administrator】(ネットワーク管理者)が社内各部署の全ての管理業務を整理する「業務仕訳」からスタートするのが一般的です。各業務部門別に個人が行っているデータ入力作業や集計帳票作成業務、報告データ作成などについては日次、月次、年次別に分けて全て提出を求めてから改めてその業務の必要性や意義を精査することになります。その際には重複したデータ集計や意味のない不要な報告書類などはないか、そして、今後必要となる集計帳票や報告書類作成などのリストアップなども行うことで、現在社内各部署で行われている「慣れの業務」を改めて精査することになります。
 その際、全く必要のない資料作成作業やデータの再入力作業などもかなり発見されるはずです。かつて、某一部上場の商社において石油流通の基幹業務統合システム構築に向けての「業務仕訳」に着手した際、担当者の方と全社の各種帳票や流通データ管理業務などを精査し驚くほどの無駄な帳票作成作業をしている事が判明した経験があります。社内各所から提出された帳票類の実に三分の二が重複などで不要な書類と判断されました。逆に、リアルタイムな情報把握を求められる「与信限度額管理」や「油種別数量枠管理」、「担当者別販売数量枠管理」、「在庫管理」などはシステムによる管理が可能となるわけですから、無駄な作業が省かれ少ない人数でも圧倒的に業務の質を向上させながら、10人で行っていた業務をたった3人で消化できるようになり、しかも管理業務については大幅にスピードアップし業務コストを大幅削減を実現させることができました。


4.業務標準化で個人による仕事の抱え込みをなくす

 企業にとって、全ての業務をいつでも誰でもできるように標準化しておくことは業務省力化とともに経営リスクを回避するうえでも大切なポイントです。例えば軽油税申告帳票作成業務などの特殊な業務が特定の個人に抱え込まれていて業務配置換えの業務継承時や専任スタッフの退職などによる急な対応時に苦労された経験がある企業も多いはずです。社内各部署で個人の業務としてエクセルなどへのデータ再入力作業などにより分散処理されている業務をあらためて見直し、個人に「抱え込まれている」業務を誰でもできる標準化された業務としておく事が大切なポイントです。
 最近ではサーバーを中心とするデータベースソフトのネットワーク構築により作業をメニュー化してプログラム化、簡単に統合処理することができるようになりました。昨今のような不景気な時代には、社員にとってリストラなどの合理化は最も恐れる事態となるはずです。社内における自分の業務ポジションを確保するため自分だけの業務として囲い込むといった傾向もあるわけです。経営者としては今迄「慣れ」で流れてきた業務を、改めて社員個人の能力や特性に合わせた配置に組み直す必要性に迫られています。


5.オフコンを中心とする「電算室」の時代から
  アドミニストレーター【administrator】によるネットワーク管理の時代へ

 以前のSSシステムといえば、系列計算センター等に依存する請求書作成などの勘定系処理が中心でした。自社で大きな経費の掛るオフコンを導入し「電算室」を設置してシステムを運用していたケースも多いわけですが、最近ではIT環境が進化し大企業でも「サーバー」構築によるネットワーク化によりハードもソフトも大幅にコストダウンできる時代です。我が国の石油業界はコンピューターによる請求書作成という観点では他の業種よりも早かったといえますが、いまだに地方特約店などではオフコンを駆使した「電算室」なども存在しております。
 他の業種と比較して皮肉なことに現在ではシステム的にかなりたち遅れてしまった感じもしています。未だに、一部経営者の中にはオフコンの方が優れているという考えをお持ちの方もいらっしゃるようですが、かつて戦力が「大鑑巨砲」の時代から戦闘機に変化したように、システムは小型で高性能にしかも導入予算と維持管理費については圧倒的に安くなり、その機動力は大きく変化していることを改めて認識する必要があります。


6.少ない人員でミスのない業務を合理的に進めるためのポイント

 少ない予算で、機能の高いシステムを構築する為のポイントとしては、既製の「汎用パッケージシステム」の活用が有効であることは当然です。その際に問題となるのは其々の企業の石油流通業務の特性に合ったシステムの選択がポイントとなります。SS店頭のPOSシステムなどと異なり、直売部門や全社管理システムでは受発注業務や配送管理、さらには専門的な知識を要する「潤滑油ビジネス」など多岐にわたる専門機能が要求されます。極力カスタマイズ作業の不要な実績あるシステムを選択することが構築期間の短縮や運用面での利便性に直結します。特に構築予算が安く済みます。
 さらに、既存の「会計シスム」や「給与システム」などとの連動構築を想定するにあたってはデータコンバート作業などにも専門的知識を要しますから、事前に綿密な打ち合わせがシステム運用にあたっての成否のポイントとなります。石油流通ソリューションは他の一般的なビジネスソリューションとは異なる専門的な機能を保有しています。あとは其々の企業の業務オペレーションを見直しながら改善点のチェックポイントを確認すること。「ペトロマスターEX」などではすでに、元売、一部上場企業の大手商社、元売販社、さらには、フリート系企業から一般特約店企業まで多くの業態での運用実績がありますから、システムの手順にあった作業を行うだけで圧倒的な省力化を実現することが可能です。


7.「会計システム」などとの連結で、「日次決算」を可能にする

 ERPシステム構築による大きな目的とメリットの一つは、汎用の「会計システム」や「給与システム」などとの連動により「リアルタイムな決算」が可能になるという点でしょう。企業としてのリアルタイムな収益状況の把握が可能となり「日次決算」を可能にすることで、経営者にとって一番大切な経営情報取得に関するスピートアップが実現し「意思決定速度」も速まり、経営の機動力が向上するという好循環を生み出します。今後のガソリンスタンドビジネスは「SSフィールド」からの脱却を迫られています。事前に現在の運営オペレーションをにコストダウンしておくことが「次の時代」に向けて「勝ち組企業」の定石となっています。


8.業務コストダウンによる経営効果は売上増加よりも企業収益に貢献

 「成熟期」から「淘汰期」に突入した石油流通ビジネスでは、今後、拡販による収益効果についてあまり多くの期待を持つことはできないはずです。多くの企業で経営計画立案などでも既存分野の売り上げを対前年比で上回るプラス志向の計画を組むことは不可能な状況となってきました。従って「経営管理費」の削減と少ない人員による業務内容の「質の向上」とスピードアップが求められているわけです。仮に、経営効率を向上させてコストダウンに成功した金額と同等な額を、拡販による収益で補おうとした場合大変な労力とリスクを伴う事は申すまでもありません。
 今後の石油流通ビジネスにおいて勝ち残るため、基幹業務統合系ERPシステム構築の意義はより拡大しています。
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