石油流通~その先の未来へ  「お客様の喜びが我が喜び」

第9回 実践、「灯油配送を起点とする外販ビジネス展開」 ~その3

SSにおける次世代エネルギービジネス展開に向けて
灯油配送管理システムと「顧客管理データベース」の有効活用

 石油エネルギービジネスの大きな変化の流れの中で「ガソリンスタンド」という業態はいま大きな変化を求められています。
エコカーやEVの普及により「車をキーとする」業態であるSSにおける一連の店頭販売ビジネスが過渡期を迎えつつあることについては誰も異論はないはずです。
 一方ではすでに、元売による「次世代エネルギー」ビジネス展開も具体化しています。
今後の流れとしては、今迄の「車」を中心とするSS店頭での「待ちのビジネス」から、「ホームエネルギー」などを中心とする外販や宅配ビジネス分野に二分されつつあるようです。
 SS店頭販売オペレーションを中心とするビジネスフォームから脱却し、「次の時代」にむけての模索について、現在のSS業態を検証しながら石油エネルギービジネスがどのように変貌していくのかを改めて予測してみることも大切なことであると思います。
そこで、今回は「灯油配送システム」の顧客管理データベースを経営資源として見直し、さらに再活用することで新たな次世代のエネルギービジネス展開を可能にするための手法について考えてみましょう。


1.ここ数年のSSビジネスを改めて観察してみると

 毎年、当社も参加していますが、全石連総会と同時に開催される「SSビジネス見本市」の出展企業とその内容を観察しているとSSビジネスの「トレンド」がよくわかります。
 今年はFCの「格安レンタカー」企業の出展数が増えたように感じました。一昔前までは「リライトカード」や「中古車販売」、「板金」などのFCチェーンが多い時期もありました。また、ここ数年は「ナンバー認識」による油外収益向上支援システムが複数社出展し覇を競っていましたが今年は出展社も減りブースと規模も小さくなっていたようです。LEDなどのSSの照明器具のブースが増えているのは昨今のエコブームの影響なのでしょうか。冷静に観察してみるとSS業界に次々と新たな油外収益のトレンドとビジネスフォームを生み出してきた「SS周辺ビジネス」もここにきて若干手詰まりの感が見えてきたように感じています。主要油種の利が薄い現状では「油外収益」による収益向上を目指す事は重要なことなのですが、今後予測されるエコカーの普及により「ガソリンスタンド」と「車」の関係は希薄になる傾向が見込まれており、SS経営者の視点も「次の時代」を見据えながら新たな視点での模索の時代になってきたようです。


2.ジレンマが募る、次の時代を見据えた石油ビジネスの展開

 現状において、自動車の化石エネルギーに対する依存度が一気に変化することはありえないにしても、依存率が低くなることは確実でしょう。問題はどの程度の期間をかけてどの程度まで下がるかということが気になるところです。その見通しについてはSS経営者であれば誰でも興味を持っているわけですが、実際のところ競合企業が減ることによる「残存収益」に期待しての楽観的な意見もあれば、ここ2~3年間が淘汰の勝負という方もいらっしゃいます。SS経営者の方と話すとどこへいってもそんな話題が増えてきました。
 しかし、何をどのようにしたらいいのか、考えているうちに時は過ぎていきます。現状では収益向上のための打開策と「SSの次世代ビジネス」に向けた二重の課題がSS経営者に重くのしかかっているわけで、「次の一手」を考えると何とも、ジレンマが募る現状となっているように感じています。


3.見直される灯油配送ビジネス

 ここ数年、元売販社や大手ディラーによる灯油配送システム構築が急増している理由については、SSのセルフ化と閉鎖の多発や経営環境の悪化による配送体制の弱体化により、配送体制が整備されている企業に灯油注文が集中し販売数量の増加が顕著となってきたことが大きな要因となっています。さらに、消費者に配送料が見直されたことから値取りも可能となりその収益性も大きな魅力となっているようです。特に注目されるのは当面の収益を確保しながら次世代に向けて灯油配送システムの「顧客管理データベース」機能の活用が開始されている事です。
灯油ビジネスの最大の課題であった季節商品という弱点を克服すると同時に「次の時代」にむけて、地域性や企業特性を生かした「宅配商品」の開発が増えています。
 夏場における「天然水の宅配」などは非常に可能性のあるビジネスとして定着しつつあるのはご承知の通りですが、最近ではさらに食材の宅配なども増えています。


4.ビジネスの基本に学ぶ・・・・・Back to the Basic

 数年前のことですが、灯油配送システムのプレゼンテーションの要請があり某老舗特約店に伺った時の話です。創業者である会長と現社長の会話を聞いていて、「なるほど・・」と思われることがありました。現社長が石油業界の大局的動向などについて話していると、それを聞いていた会長曰く「別に難しいことはない。お客様が望んでいることなら絶対に失敗はない。自分の商売は昔、薪や炭の配達からスタートした。灯油の時代が来て一斗缶の灯油配送に変わり、そこからまた自動車の時代になって自然に現在のガソリンスタンドという新しい商売に変わってきたものだ。」という言葉でした。SS創業者の世代にはご自身で戦後の薪炭商からモータリゼーションの黎明期に新たな次世代ビジネスとしてSSを創業した方が多いわけで、思えば、私の父も元はといえば薪炭商でした。二代目、三代目ともなれば既存ビジネスとして事業継承した方が多いわけですからSSビジネスに対する認識も違います。SSも「創生期」においては、モータリゼーションの「時代を先取りした最新ビジネス」であったわけですが、その後、作れば売れる「成長期」から、「成熟期」へ、そして現在はエネルギー環境の変化により『淘汰期』から「転換期」を迎えつつあるのがSSビジネスだと言えるでしょう。かつて、薪や炭が石油に代わったのと同様に、これから起こるエネルギー環境の変化をビジネス再創業のチャンスととらえるポジティブ思考の経営者と逆に悲観的に落ち込むネガティブな経営者が存在しているわけですが、これだけ大きなエネルギーに関するビジネスマーケットが変わるわけですから前向きに「ビジネスチャンス」と捉えるべきだと思います。


5.次世代ビジネスに向けて、強力な経営資源となる灯油ビジネスの「顧客管理データベース」

 灯油配送はSSビジネスの原点であり、消費者に一番近いところにあるともいえます。
 一概に「データベース」とはいっても色々あります。ITが不得意という方には難しい言葉に聞こえるかもしれません。しかし、すでに身近に多く存在しておりそれほど難しく考える必要はありません。簡易なところでは「エクセル」などを利用してのデータ検索なども可能です。データベースソフトとしてはマイクロソフト社の「Acces」などから、最近、石油ビジネスの基幹システムで運用されているものは「SQL」や、「オラクル」など本格的なデータベースエンジンまであり、それぞれ規模や目的に応じて使い分けるケースが多いわけですが、単独企業で複数のデータベースを持つと逆に業務の煩雑さを招くことにもなりかねません。「顧客管理データベース」などは応用性が高く使い易さを重視した統合的なデータベース構築が有利です。
 今回は、石油業界における「灯油配送システム」の顧客管理データベース構築と運用の工夫について説明します。


6.SSビジネスにおける、「顧客管理データベース」構築とその活用手法

 一概にSSビジネスとはいっても、SS店頭オペレーションのほかに灯油配送などの外販配送部門、さらに「直売部門」では販売店向け卸売から業転スポット販売まで業態は様々です。したがってデータベースの活用手法と目的は非常に多岐にわたります。SS店頭では「車」を基軸とした管理が中心となっており「車両ナンバー認識」のデータベースにより油外販売を促進するための手法が盛んです。一方「灯油システム」は「お客様を基軸とする管理データベース」であり、債権管理情報から住宅に付随する石油タンク容量から消費実績、配送サイクルの管理、さらに詳細な区分による管理が可能です。顧客を細分化してより汎用性の高いデータ管理が求められていますから、データベースとしての活用性と応用範囲はかなり広範な領域をカバーできます。

極端なことを言えば、

・CTI対応の「コールセンター」
・CRMとはどんなもの?
・新たなビジネスモデル開発に必要な「創造力」発揮のヒント
・「販売戦略性強化」と関連業務の圧倒的な省力化を実現する「灯油配送ソリューション」
・社内的コンセンサス(意思統一・合意)とスタッフの「やる気(モチベーション)」を喚起する手法
・地域性と企業特性、経営者の創造性を発揮するビジネスチャンス到来
・灯油配送ビジネスは『消費者への告知」と「受注体制の整備」からスタート
・地域囲い込み戦略には「データベース構築」
・まずは分岐点売上を超えるボリューム確保
・相乗効果を生む「灯油配送ビジネス」


7.取り組みに格差が明確化してきた「灯油配送」

 ご承知の通り、元売各社は既にソーラーなどを中心とする次世代エネルギーの開発に膨大な予算と人的資産を投入しており、数年後には大手元売りを中心とするエネルギービジネスは大きく変化することになりそうです。そんな中で最近のガソリンスタンドというビジネスを考察してみると、全国各地の都市部でガソリン販売を中心に拡大展開中の元売系販社SSと地方特約店の目指す業態の方向性が矛盾と軋轢をはらみながらすみ分けされてきたように見えます。都市部で展開する元売販社系の「車」を中心とする従来のガソリン販売は新設セルフ建設などでさらに販売強化されており、一方、郡部などで拡販コストが掛る地域で元売に統合された特約店のSS施設はかなりの速度でスクラップ化が進んでいます。過疎化が進む地方のSSは減少する店頭販売数量の収益をどのようにカバーしていくかという課題に直面しており閉鎖と淘汰がさらに進んでいるという現実もあり、ホームエネルギーである「灯油ビジネス」にも大きな変化が生まれています。しかし、そんな過疎地域であるからこそできる、消費者と密着したドアツードアの灯油ビジネスもあります。


8.ガソリンスタンド運営者の、「創造性」を発揮し、社員の「元気と、やる気!」を喚起させる
 「灯油配送を起点とする」、宅配ビジネスの可能性

 ガソリンスタンドを起点とする「宅配ビジネス」の可能性については、数年前から全国各地でいろいろな試行錯誤が開始され既に成果を上げているケースが増えてきました。

・経営者としての創造性を問われる時代
・当面興味があるのは、元売各社が取り組んでいる
・灯油販売マーケットの現況分析
・可能性が拡大している「灯油配送ビジネス」
・配送コストが価格転嫁できる環境になってきた
・拡販のための具体的手法について
・なにより、収益環境が整備されてきた
・システム化によるコストダウンが効果を発揮している
・受注センター設置による業務集約が進んだ


9.新たなるホームエネルギービジネスの展開に向けて

 店頭における燃料油の販売オペレーション、そして次世代エネルギービジネスまでを想定したこれからのビジネスでは設備はもちろん販売オペレーションやマーケティング内容までも大きく異なるはずです。今後予想される新エネルギーの部材開発や普及とともに、現在の石油元売を中心とする流通とは別の全く新しい事業分野である住宅設備産業や新エネルギー供給ビジネスが生まれる可能性が高まりつつあります。従って今後石油流通ビジネスはEV化などが進行する「自動車」を中心とする分野とソーラーパネルなどのエネルギーから派生する新たな関連ビジネスの分野も生まれてきますから大きな過渡期を迎えることになるはずです。既存の石油販売リテール業者にとっては当面の厳しい経営環境を前提に現実に進行しつつある各社の次世代エネルギー戦略を見据えながらあらたなビジネスへの取り組みと方向性について予め想定しておく事が必要な時代に入ったと感じます。
・EVなどの普及による自動車エネルギーの変化により「ガソリンスタンド」という業態は今後どのような形で生き残り果たして再成長を迎えることが出来るのか、
・一方で、元売による新たなエネルギー戦略の中で次にどんな可能性のあるエネルギービジネスが派生してくるのか興味がわいてくるのは私だけではないはずです。

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