石油流通~その先の未来へ  「お客様の喜びが我が喜び」

第11回 石油流通ビジネス最前線の課題


軽油税特別徴収義務者のための「軽油税納税管理」実務講座

 平成21年度の税制改正より、地方道路特定財源制度が廃止され一般財源化されたことから、軽油引取税は目的税から普通税に移行し、使途制限が廃止された事はすでにご承知の通りです。
 それに伴い軽油税特別徴収義務者(以下、特徴業者)に課せられた軽油税納税申告帳票の様式も変更されました。軽油税の納税申告帳票作成業務は特約店企業にとっては必須の作業ですが帳票作成内容が複雑なため特定スタッフに専業化されているケースも多く、大手ディラーでは統合や担当者の退職などにより申告業務に支障をきたすケースも多発しています。
 特徴業者にとって「納税還付金」や「欠減補助」などは安定収益ともいえる大きなメリットがある半面、昨今の不正軽油の流通問題などもあり申告業務と流通管理には各都道府県の税務部署からは厳正な対応を求められています。今後は「課税済み軽油」を仕入れて販売している販売店(サブ店)に対する税務調査も強化されることになりそうです。今月は特徴義務者の軽油税申告を中心に流通管理に関する実務について解説します。


1.企業毎に異なる申告帳票の作成手法

 軽油税申告に関するご相談を受けてお客様企業にお伺いすると、それぞれの企業で申告内容に関するレアケース(例外的なケース)の課題に直面することが多いわけです。
 全国的に統一されている納税手法であるはずなのに、各都道府県や所轄の税務事務所や担当者ごとに添付資料などについて指示される内容が異なっているケースもあるようです。
 販売数量にかかわらず特徴業者であれば必ず作成提出義務がある軽油税申告ですが業態や流通内容により若干帳票作成の手法が異なります。
 一概に特徴業者といっても
①SS店頭販売が中心の業者。
②課税済み軽油の仕入れ比率が高い特徴業者。
③油槽所など中間流通のための貯蔵施設を保有している業者。
④直売部門の中間流通取引(業転)が多い企業。
⑤受け取り免税券の処理が多いケース。
⑥海上ボンドバンカーへの対応。
⑦商社業務が中心で「商流」データ中心の卸売企業。
などの諸条件が複合的に絡み合って微妙に作成手順と内容が異なります。それら多様な業態がそれぞれの企業において担当者に専業化されている要因ともなっているわけです。そのため、担当者の配置換えや退職、企業統合などにより業務に支障をきたすケースも増えており、先般の「暫定税率撤廃」の問題が発生した時点での対応処理などから、これまで目立つことのなかった軽油税納税管理にする課題が改めて表面化したという経緯があります。


2.いま、特徴業者に求められている軽油税税納業務の標準化と帳票作成の完全自動化

 特徴業者に課せられた消費者からの軽油税徴収代行義務と納税申告義務は、販売店(サブ店)では享受できない幾つかの優位性とメリットもあるわけですが、反面、煩雑な帳票作成という業務負担もあるという事になります。
 特定の人間に専業化されている」ケースが多い軽油税納税管理業務をどのようにして誰でもいつでも簡単に処理できる標準業務にすることができるか、さらに完全省力化を実現するための手法については、すでに多くのシステム開発企業などで模索されてきた経緯もあるわけですが、異なる業態や複合的な流通形態が多いため、せいぜいペーパーベースの流通データをエクセルなどに再入力して取りまとめ、「手書き」作業に依存するといったレベルのものでした。
 この煩雑な業務を完全省力化することが出来れば、業務コストダウンだけでなく「還付金」をはじめとする優位性をフルに活用できる事になります。
 軽油税納税管理システム「D-TAX」は特徴業者のそんな課題を一気に解決するため石油流通ビジネスに特化した基幹統合系ERPソリューション「ペトロマスターEX」のプログラムの部分ユニットとして開発されました。


3.軽油税納税管理システムの概要

 「D-TAX」による軽油税納税帳票作成の手順には幾つかの手法がありますが、各系列「計算センター」に蓄積されている流通データを経営資源として再活用する方法が一般的です。後方システムの流通データを「D-TAX」にテキストまたはCSV形式で読み込むだけで、システムが自動的に帳票を作成します。
その他、直売部門を持つ大手企業や商社流通などの「直送売上(商流)」や出荷施設からの再配送や在庫施設が多い企業などの、「倉取り」、「届け」、「施設渡し」など複雑で多様な流通を伴う業態は「D-TAX」への直接入力も可能です。


4.厳正化される「課税済み証明書」発行と「流通経路図」の作成管理

 特徴業者には、販売先から求められた場合、販売先に対して「課税済み証明書」の発行義務があります。
 さらに課税済み軽油の転売などではすでに「流通経路図」の提出作成を求められているのはご承知の通りです。
 「課税済証明書」については、営業担当者などが作成してコピーやFAXなどで送付しているケースも多くありましたが、「課税済み証明書」の悪用などによる不正軽油流通防止の観点から、最近は所轄事務所より正規な社印を捺印した「課税済み証明書」の発行を指導されるケースが増えています。
 そのため、「D-TAX」には、取引先別、期間別の軽油取引内容をデータベースで厳正に管理しながら「課税済証明書」を発行する機能やオプションにより「流通経路図」の作成管理機能まで用意されています。(各都道府県別に帳票レイアウトが異なるためオプション)


5.軽油税申告で求められる「情報系」流通概念とデータ処理

 リテールのSS店頭における勘定系を中心とする販売管理のためのデータと大手特徴業者における流通データ処理はそもそも「流通用語」の定義要件から異なるケースもあります。
 たとえば、リテール業者がローリーを自社手配して油槽所などで「倉取り」で仕入れた場合、リテール業者は「倉取り仕入」という事になるわけですが、販売業者側は特定の「施設で渡した」という概念から、「施設渡し」という用語を使用するケースも多いわけです。
 一般的には「倉取り」流通なのですが、出荷施設や届け先、車両コストなどを細分化して区分演算するためには、必要な概念区分であるというわけです。
 この辺については石油製品の「受け渡し業務」に関する用語定義などは企業毎に異なるケースもありますので、実務上の基本的な流通区分概念については別の機会に説明させていただくこととします。
 その他、大手企業で多くの貯蔵施設などを保有しているケースには在庫移動(社内転送)や貸借商品の出入庫管理、代行委託出荷や預かり商品管理などの「情報系データ」が発生することがあり実務上の「在庫管理」などにはかなり複雑な流通管理が必要となります。


6.直売データの一元入力処理や既存の流通データを経営資源として再活用することで完全省力化を実現する

 ここでは、事例の一つとして、後方計算センターや自社コンなどに存在する流通データを経営資源として再活用することで軽油税申告業務の完全自動化する手法に関して説明します。
 「D-TAX」は「ペトロマスターEX」という石油流通基幹業務統合系システムのプログラムユニットの一部として存在しています。
 従って「ペトロマスター」を稼働させる場合には流通に関する「情報系データ処理」までが完了するわけですが、既存の請求書を作成するための汎用の勘定系データだけで軽油税納税帳票の作成は不可能です。
 たとえば「出荷基地」の特定や「届け先」には所轄官庁から統一コードが付与されていますがこれらのデータは汎用の勘定系システムで処理することは不可能です。
 その他、幾つかのポイントとなる定義項目が不足しているわけです。
 それらの課題については、それぞれの企業が運用しているシステムにより対応が異なりますが、「D-TAX」にはデータを読み込むための「インポート機能」、データ書き出しのための「エクスポート機能」などの際にデータレイアウト調整が簡単に可能な機能が搭載されています。


7.今後は、申告履歴をデータとして保存し、税務調査に対応するとともに、ペーパーレスオフィスを実現

 「D-TAX」の活用による軽油税申告はすでに、フリー系大手スーパーディラーをはじめ、数百のSSを運用管理する元売販社や大手特約店企業、一部上場の大手商社などでもスタートしており、多様な業務パターンに対応した実績を持っています。
 申告用紙は汎用のコピー用紙を使用することが可能ですし、過去の申告データなどは全てペーパーレスでサーバー等に保存することも可能ですからペーパーレスのクリーンオフィスが実現します。
 特に「税務調査」などの対応時にも非常に効果を発揮します。今後は、クラウドコンピューティングを視野にいれた開発も進めてまいります。


8.軽油だけに留まらず、「新仕切り体系」などに対する対応も…

 以上、軽油税納税申告システムに関する説明をしてまいりましたが、これらの流通概念を、全ての油種の「新仕切り体系」に対応させることでリアルタイムな「仕入価格」、「販売価格」の把握が可能となります。
 石油流通取引に関する期間、ボリュームインセンティブ、出荷基地、届け先、配送コストなどの諸条件をマトリックスに反映させながら、価格戦略や経営に関する意思決定の速度を速めることが可能となります。


9.軽油税申告に関するサポートプロジェクトがスタート

 「ゆきんこサポートセンター」では、すでに、軽油税納税に精通したプロスタッフによるシステムサポートと納税コンサルティング活動を開始しています。
 軽油税納税に関するご相談は、何でも承ります。
 「さらに、元売提携のアイネット、ダイテック、電算システムなどをはじめとする各計算センターなどでも取扱を開始しておりますので、お気軽にお申し付けください。」
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